ツインシティに関して気になる点を、幾つか記します。
1.実現時期
2002年4月に策定された「ツインシティ整備計画」では、「新橋の完成、面整備の概成、先導的施設の完成など、ツインシティが新しい都市としてスタートを切る『まち開き』の目標を2015年とする」とあります。
しかし、2015年まではあと僅かであり、この目標の達成は非常に困難です。
代わりとなる目標時期も、明確ではありません。
とはいえ、最近はまた、ツインシティに関する話題を多く目にするようになりました。
平塚市では、2012年4月に、「ツインシティ大神地区まちづくり計画」が発表されました。
これから再び、加速するのかも知れません。
ただ、2011年には、神奈川県知事より、「ツインの意味が分からない。倉見地区がどうなるのか見えない」といった発言がありました。
(カナロコ「ツインシティ構想、黒岩知事が平塚市長らとの意見交換で厳しい認識を表明」)
もっとも、2013年には、進捗に不満を持っているという話題もあり、計画に反対ということでもないようです。
(カナロコ「平塚・寒川のツインシティ計画で知事、進展状況に不満」)
いずれにせよ、計画の実施は、容易ではない状況のようです。
2.東海道新幹線の新駅
2010年の国の交通政策審議会で、「リニア中央新幹線開業後は、東海道新幹線の列車ダイヤの過密度が緩和されるため、現在、応えられない請願駅設置要望など、新駅設置の余地が高まる。」という発言が、JR東海よりあったそうです。
(神奈川県「東海道新幹線新駅の誘致について」)
リニア中央新幹線の東京・名古屋間の開業は、2027年の予定です。
ですので、設置は早くとも、2027年以降になる見込みです。
建設費用がどの程度になるのかは、分かりません。
請願駅となるため、地元の自治体などが費用を負担することになると考えられます。
3.経済効果
東海道新幹線の新駅設置による経済効果は、次のように発表されています。
時点 | 利用者数 | 利用者便益 |
新駅開業時 | 約11,100人/日 | 約47.2億円/年 |
新駅開業10年後 | 約13,500人/日 | 約61.2億円/年 |
(神奈川県「平成19年度 新幹線新駅設置に伴う経済効果等推計調査 調査結果概要」)
但し、この算出には、条件があります。
「主なネットワーク条件」として、他の鉄道路線の整備などが、条件に含まれています。
この中にある、「神奈川東部方面線」は、相模鉄道から新横浜駅を経由して、東急の東横線の方面まで結ぶ路線です。
こちらは、2018~2019年頃に、開業の予定です。
残る、相模線の行違い化と相鉄いずみ野線の延伸に関しては、あまり話題を耳にしません。
これらの整備状況によっては、経済効果に違いが出てくるものと思われます。
4.イオンモールの誕生
ツインシティに関して最も気になるのは、2018年に誕生する予定の「イオンモール」のインパクトです。
巨大ショッピングモールの誕生が及ぼす既存商業への影響は、数多くの事例があります。
同様の現象が、この地域でも展開されることになるでしょう。
「平塚の商業の考察」で記しましたが、厚木市や伊勢原市、寒川町、茅ヶ崎市などの周辺市町も巻き込んだ、大きな変化が起こることが予想されます。
都市機能を中心部に集約し、郊外への分散を抑えようとする「コンパクトシティ」という考えからは逆行するような点も、気になるところです。
もっとも、或いは逆に、「この地にコンパクトシティを誕生させよう」という、壮大な計画であるということも考えられます。